MMD界隈のプラットフォーム危機 2 ―コミュニティ―

MMD

前回から引き続いての第二回です。今回はコミュニティについてもうちょっと深く掘り下げます。
第一回はこちら。

MMD界隈のプラットフォーム危機 1 ―不安―
お久しぶりです。ちょっと思うことがあって、長文を書いてしまいました。タイトルに「1」と書いてあるように、シリーズ記事です。全4回くらいを予定しています。 足場が崩れつつあるような気がする きっかけは、かんなさんのnoteの投稿を見たことでし...

コミュニティのないMMD

MMD動画を作ろうとして技術やら何やらで詰まったとき、どうしてますか?
かつてにゃっぽんがあったときは、日記に状況を書いて「誰か教えて」とヘルプ求めるか、MMDユーザーの日記を検索して解決案がないか調べていた記憶があります。
でも今はにゃっぽんはないので、どうにかして調べないといけないんですが、びっくりするくらい情報探せないんですよね。どこを調べればいいのか見当もつかない。
検索しても出てこないですし。
初心者向けの質問なら、意外とYahoo知恵袋に多く掲載されています。ちゃんと回答もされて解決していたりもします。それ以外だと、誰かがXに「困った」ってつぶやいてるポストが引っかかったりもしますが、でもどう解決したのか(もしくは諦めたのか)がわからなかったりして…

今って、MMDユーザーが集う場所がないし、情報が集積された場所もないんですよね。
ブログ書いて情報公開してくれる方がいれば別ですが、ブログを作るのって大変だから書いてる人少ないですし。
絶対誰か似たことで困った人いるはずだと思うのに…

今までコミュニティとして使われてきた場所

今まで、MMDユーザーの間にコミュニティがなかったわけではありません。
黎明期はIRCや匿名掲示板でコミュニケーションをとっていたようですし、前述の通り、成長期にはにゃっぽんがありました。
にゃっぽん閉鎖後はTwitterとニコニコのコミュがメインで、情報発信はブロマガが主だったように思います。
とはいえ、X/Twitterは個人的には情報共有の場所として使いづらいと思うのですよね。日常のつぶやきというノイズが多いから。

ニコニコのコミュ機能終了はMMDにどのような影響があるか

何に使われていたか

今回、この記事を書くきっかけとなったのがニコニコのコミュ機能終了ですが、そもそもMMD界隈では何に使われていたのでしょう?
思いついたのはこの二つです。

  • 告知(生放送含む)
  • 限定配布

ニコニコのMMDコミュは、MMD動画作成者であればほとんどのユーザーが見れる場所なので、告知の掲示場所として使われることが多かった気がします。
初心者向けの生放送をやっている人もいましたよね。
あとは、いわゆる「コミュ限配布」でしょうか。データ配布者が自身のコミュを作って、そのコミュに所属している人だけに配布先を教えるという運用でした。

代替はあるのか?

なくなってしまったものは仕方がないので、代替できるか考えたいと思います。

告知

MMDerが知りたい情報が集まっていて、多数のMMDerが所属しているコミュニティがあって、そこで告知ができれば、代替になりますよね。だけど存在するのだろうか…(たぶんない)

  • MMDer向けのDiscordサーバかSlackワークスペース(あるのかは不明)
  • MMDer向けのMisskey/Mastodonサーバ(多分ない→Mastodonサーバが存在するようです:MikuMikuDance.Cloud

限定配布

限定配布にコミュを使っていた場合、要するに「審査があってそれに通ればアクセスできる場所」があればよくて、それがニコニコのコミュニティである必要はありません。
例えば、以下のようなやり方で限定配布することができるでしょう。

  1. 承認制のレンタルwikiやDiscordサーバ、Googleグループ、閲覧制限を付けたブログなどを用意する
  2. 用意した「ログインしないと読めない場所」に、限定公開のURLやダウンロードキーなどの「ダウンロードするときに必要な情報」を書いておく
  3. 新規入会したい人向けにGoogleフォームやメールフォームなどを用意して、必要なデータを入力して申請できるようにしておく
  4. ダウンロードしたい人は、そのフォームで申請する
  5. 申請があったら審査する
  6. 審査の結果OKであれば、配布情報を記載した「ログインしないと読めない場所」へのアクセス手段を申請者に通知する

MMDユーザー向けのコミュニティが欲しい

現状、MMDをメインに話せるコミュニティはほとんどないと思われます。
欲しいですよね…

コミュニティの種類

コミュニティには、いくつか種類があると思っています。

  • 日常を共有する
  • 情報を共有する
  • 情報を蓄積する

日常を共有する

X/Twitterが担っている部分です。
技術情報だけでは見えにくい人柄を把握することができるでしょう。

情報を共有する

例えば新しい配布物についてだったり、制作について詰まったところや疑問点などを話したり共有したり、などが考えられます。
「困ったときはここを検索したりここで聞いたりすれば情報が集まる」みたいな場所欲しいですよね。

情報を蓄積する

上記はあくまでフロー情報なので、後からでも役立ちそうなものは流れないようまとめておきたいですね。

これらが混ざると使いにくい

個人的な意見ですが、これらが混ざると使いにくくなる気がします。
日常を共有するコミュニティに技術情報を書いてもすぐに流れてしまうでしょうし、技術情報だけ探すのは結構大変ですよね。
技術情報限定のコミュニティでも、そこが会話メインだったとしたら重要なものでも流れてしまい後から探しにくいです。

コミュニティを作るにはどうしたらいいのか

ここで、コミュニティを作りたい場合にできそうな手段を考えて列挙してみます。

  • MisskeyかMastodonのテーマサーバを立てる
  • Discordで専用のサーバーか、Slackで専用のワークスペースを作る
  • SNSを作れるオープンソースを利用する
    • OpenPNEなど
  • オープンソースのディスカッション用フォーラムソフトを利用する
    • phpBB、Discourseなど
  • redditにサブレディットを立てる

どんなコミュニティが作れるのか

これらの手段で用意したコミュニティが、上述したコミュニティの3つの種類のうちどれにあてはまるのかについては、ある程度運用でコントロールできると思います。
どれも、極論を言えば「ユーザー登録して投稿してコメント付けられる」機能は共通ですしね。
でも「情報を共有する」用途が一番向いてそうですが。

必要なもの

もちろん、これらのコミュニティを運営するのには必要なものがいくつもあります。
維持費や労力、時間などですね。
需要があれば人が集まり、そうなると重要性が増して、コストが増え、落とせなくなり、運営する事へのプレッシャーが高まります。
Discord、Slack、redditに場所を作るのは無料でできますが、運営へのプレッシャーは起きますし、元サービスの意向に振り回されます1
自分でサーバーを用意して運営する場合は、発生する手間とコストをどうするかになるでしょう。
おそらくは運営の持ち出しでボランティア運用になるはずで、更に人が増えたらサーバーを増強する必要があります。
またディスク容量やセキュリティなど、気を配る必要がある箇所は多いです。
Misskeyのようなオープンソースをそのまま運用する場合でも、元のプログラムのバージョンアップに追従していく必要があります。
更には、コミュニティは人が集まってコミュニケーションするのが主目的なので、ユーザー同士のトラブルに対応せざるを得なくなるなど、運営のメンタルにかかる負荷も大きいことでしょう。

どれがいい?

上で列挙した中で、自分が欲しいのはMisskeyのMMDer向けテーマサーバかDiscordのサーバかな、と思いました。
上述の分類だと「情報を共有する」タイプの、MMDの話題限定で気楽に投稿できる場所が欲しいです。
どっちも運営はしぬほど大変そうですが(ストレスすごそう)。
情報を蓄積するための、MMD専用のブログサービスとかも欲しいんですけどね…

まとめ

  • 現在、MMDにはユーザーコミュニティとなる場所が存在しない
  • MMDに関する情報共有がメインでできる、インターネットコミュニティが欲しい
  • しかし、運営は大変だと思われる

次回

次回は、配布について考えてみます。

MMD界隈のプラットフォーム危機 3 ―配布―
第三回は、配布について考えます。第一回・第二回はこちら。 BowlRollさんの赤字について かんなさんのnoteにBowlRollさんのことが書かれていて、確かに運営大変だよなあと思ったのですが、すぐあとにBowlRollさんからこんな告...

更新情報

  • 2024/9/17 MMDer向けのMastodonサーバの存在を教えていただいたため追記しました
  1. 記憶に新しいものは、Slackが無料プランでは過去発言を見れないように制限したことや、Discordの添付ファイル容量制限、redditがGoogle検索以外を拒否して検索できなくなったなどでしょうか。 ↩︎

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