第三回は、配布について考えます。
第一回・第二回はこちら。
BowlRollさんの赤字について
かんなさんのnoteにBowlRollさんのことが書かれていて、確かに運営大変だよなあと思ったのですが、すぐあとにBowlRollさんからこんな告知が。
円安でサーバー代が高騰し、既存の広告も収入減が続いており、只今月額で5万円程赤字となっております。
大前提として、BowlRollさんの存在は初心者やITに詳しくない人がファイルを配布しようとしたときの大きな助けになっているはずだし、いまや「なくてはならない」サービスになっていると思います。
その上で、月5万円の赤字はサービス継続を諦めても文句は言えないと思います。
BowlRollさんに限らずwebサイトのコストはストレージと帯域幅なので、各自で配布場所を用意してそっちでダウンロードしてもらうように変更すればBowlRollさんの赤字額は減るでしょう。
そのあたりを自分で何とかできそうな人はBowlRollさんに頼らず個人で配布方法を確保することを検討してもいいのではないかと思います。
一般的には、アップローダというサービス自体、下火になっています。オンラインストレージが普及したためそちらを使う人が多いのでしょう。
更に言うと、アップローダはサービス運営にコストがかさみ、違法ファイルなどに対する対処が大変で、それに加えてマネタイズが難しいことが下火になっている根本原因だと思われます。
オンラインストレージで配布する人を増やせないか?
その後、BowlRollさんの告知に応える形でMMDerからの支援が増えたようで1、素晴らしいことだと思います。
が、ファイル配布というMMD隆盛の根幹にかかわる分野の、アップローダというサービス提供者側の負担が大きいサービスで一強状態なのは、BowlRollさんへかかる負荷やプレッシャーが高すぎると個人的には思います。
BowlRollさんに頼らず、自分でオンラインストレージを使って配布する人が増えれば、BowlRollさんの負担は減るでしょう。そういう人を増やせないか、考えてみます。
なお、第一回にチラッと書いたように、今でも個人でアップローダーをレンタルできるuploader.jpというサービスが存在するため、こちらを個人でレンタルする手もあります。
しかし、アップローダはどこもサービス縮小気味で、uploader.jpもここ何年も放置されているように見えます。そのため除外しました。
オンラインストレージのファイル公開機能
まずは前提となる機能の説明から。
Dropboxなどのオンラインストレージサービスには、ファイルを公開する機能があります。
自分のストレージにアップロードしたファイルを、リンクを知っていれば誰でもダウンロードできるようにする機能です。
これ、アップローダと同じ機能ですよね。
また、このリンクは無作為な文字列なので、リンクを知らない人が推測することは難しいです。
アップローダを使う理由
MMDにおいて、オンラインストレージではなくアップローダを使って公開する理由は何があるでしょう。
思いついたのはこれくらいなんですが、他にも理由ありますかね?
- ダウンロードキーを付けたい
- 限定配布したい
- ダウンロード数を知りたいから
- オンラインストレージでzipを公開した場合の画面がわかりにくい
ダウンロードキーを付けたい
これ多い気がしますね。「パスワードはこちら」ってやつ。
限定配布したい
ダウンロードキーより更に配布を絞ったパターンで、「BowlRollにログインしている人のみダウンロード可能」とかもたまに?見ますね。
ダウンロード数を知りたいから
「ダウンロード数表示が励みになる」って人もいるんじゃないでしょうか。
オンラインストレージでzipを公開した場合の画面がわかりにくい
多分ウイルスを配布されたりしたくないからなんでしょうね…
オンラインストレージで公開しているzipを詳細表示すると、大抵どこのサービスでもフォルダ表示されるため、zipをダウンロードする方法がわかりにくいです。
なぜダウンロードキー付きの配布をするのか
理由として一番大きそうな「ダウンロードキーを付けたい」について考えてみます。
そもそも、なぜダウンロードキーを付けて配布したいのでしょう。
理由はいくつか考えられます。
- 配布動画を見てほしい
- 利用規約にチェック的な感覚
- 日本語がわかる人だけに使って欲しい
- そのモデルのジャンルについて知っている人だけに使って欲しい
いずれにしても、配布する人を絞り込みたいなど、ちゃんとした理由があって選ばれているのは確かです。
オンラインストレージでダウンロードキー付きの配布をする方法
そこで、なんとかオンラインストレージを使って「ダウンロードキー」が実現できないか、考えてみました。
案として思いついたのは以下の通り。
- パスワード付きzipとして公開する
- 共通鍵暗号方式で暗号化して公開する
- Dropboxが持つ「リンクをパスワード保護する機能」を利用する
パスワード付きzipとして公開する
zipにパスワードを付けて公開し、ファイル自体はフリーパスでダウンロードできるようにする方法です。
zipのパスワードを解析するソフトがあったりするので、それをどう考えるかによって評価は変わるでしょう。
共通鍵暗号方式で暗号化して公開する
パスワード付きzipではなく、共通鍵方式の暗号を使って暗号化したものを配布するパターンです。
これならパスワード解析も多分NG。
問題は、暗号化ソフトはいくつも存在し、それぞれ互換性がないことかもしれません。「ソフトA」で暗号化したファイルは「ソフトB」では復号できず、「ソフトB」で暗号化したファイルを「ソフトA」で復号することもできないので、どれがいいのか迷うことでしょう。
Dropboxが持つ「リンクをパスワード保護する機能」を利用する
一部、例えばDropboxには、リンクをパスワード保護する機能が存在します。
これを使えば、ダウンロードキーとほぼ同じことが実現できるでしょう。
ただし、Dropboxに依存します。例えばGoogleDriveにはこの機能はありません。
どれがいい?
いくつか方法を考えましたが、個人的には、どれも決め手に欠けるかな、といった印象です。
うーん、難しい。
ちなみに、リンクを暗号化するjavascript製のオープンソースが存在します。
これを使うと、オンラインストレージの公開リンクにパスワードを付けて保護することが可能です。
いいじゃん!と思ったんですが、致命的な弱点が。
これ、URLの文字列を暗号化してるんですが、ログイン機能自体存在しません。同じURLに別のパスワードを設定すれば別のリンクになるようですが、一度作ったものは変更できない(消せない)んですよね。
つまり「ダウンロードキーが漏れたから無効にしたい」ができないんです。
残念ながら、実用には向かないかな…
その他、オンラインストレージでの配布をやりたくない理由について
限定配布したい
これは告知方法を考えるしかないんじゃないかな…
前回、ニコニコの「コミュ限定配布」と似た配布をする方法を考えましたが、こんな感じでURLを知る人を限定するようにすればなんとかなりそうです。
わかりにくい
もうこれは、開き直るというかダウンロードする側が慣れるしかないかもしれないですね。
分かりにくいとはいえダウンロード自体はできますし。
ダウンロード数を知りたい
配布サイトを用意していれば、アナリティクスなどを使ってダウンロードの計測はできると思います。
それを使えば、ダウンロード数を把握することはできそうです。
でもそれは「アナリティクスを見ないとダウンロード数がわからない」とも言えるんですよね。
配布ページにダウンロード数を表示したい場合は…多分、PHPが必要になる気がします(フリー配布されているスクリプトとして、PHP製のダウンロードカウンタは存在します)。
個人開発でなんとかできないか?
ダウンロードキーが必要だと思う配布者は多いと思うのですが、オンラインストレージを使ってダウンロードキーを付けた配布をするのは現状難しいのではないかと思います。
かといって、そういう場合にアップローダを使うしかない現状はBowlRollさんに負荷が集中しすぎる。
このあたりを個人開発でなんとかできないか、ちょっと考えています。
前述したパスワード付きのURLを作成するオープンソースの考え方を参考に、ユーザー登録したらリンクを登録してパスワードで保護できれば何とかならないかな…って。
そうすればオンラインストレージにアップしたデータをパスワード入力しないとダウンロードできないようにできますよね?
まとめ
- BowlRollさんの負荷軽減のためにも、オンラインストレージで配布をする人が増えてほしい
- ただ、MMDでアップローダが使われるのには理由があるし、その中でも「ダウンロードキーを入力しないとダウンロードできないようにしたい」というのは大きな理由の一つだと思われる
- オンラインストレージに置いたファイルをパスワードで保護して配布したい(ダウンロードキー)場合、いくつか方法が考えられるが、どれも決め手に欠ける印象
- 個人開発で何とかできないか
次回
ひとまず次回で一区切り。まとめと提案についてです。
コメント